タイでご赴任前に必要な予防接種、感染症等についてまとめてみました。
日本と違い様々な感染症の危険がございます。
1) 予防接種
タイのような熱帯気候の国に赴任する場合は、現地で罹るかもしれない病気を知っておくことやワクチン接種は非常に大切なことです。
早めの受診により、必要なワクチンを接種し、免疫をつけた上で出発できるようにしましょう。ワクチンによる十分な効果を得るためには、出発の4~6週間前には接種を完了させることが大事です。接種は複数回必要なものもあるので、かかりつけの医者に早めに相談しましょう。
① ルーティーン
MMR(麻疹・風疹・おたふく風邪)、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)、ポリオなどのルーティーンワクチンの追加接種
② A型肝炎
A型肝炎ウイルスは経口感染(飲食物を摂取することで感染)するので、汚染された水や氷、甲殻類、汚染された水で洗われた果物や野菜(サラダ)を生で食べないように注意する必要があります。
③ B型肝炎
タイのようなHBVウイルスに感染する危険性が高い国へ行く場合に必要です。 特に流動的に血液や体液に接触する可能性のある方、現地の方と性的接触のある方、医療的治療(例えば、事故・歯科治療)を受ける可能性のある方は必ず接種しましょう。
④ 日本脳炎、腸チフス
仕事でタイの地方の農村部に行かれる方は注意が必要です。
2) 気をつけたい感染症
① 蚊により媒介される病気
• デング熱
夜明けから日没までに活動する熱帯シマカ、ヒトスジシマカが媒介するので、刺されないように注意が必要です。主に雨季(5月~10月)に流行し、3年から5年の周期で流行ります。 年によって患者数は変動するものの、タイ保健省に登録されている年間の患者数はタイ全土で10万人前後、バンコクで8,000人前後です。罹患率、死亡率は共にタイの感染症の中で上位10位以内に入りますが、致命率は0.1~0.2%です。
• マラリア
流行のピークは5~10月の雨季ですが、10~1月にも小流行がみられます。2005年の統計を見ると28,131人(タイ人21,334人、外国人6,797人)の患者が報告されています。罹患率は45.23です。この年はタイ南部の多くの県で局地流行がありました。1996年から2005年までの10年間の罹患率は40~120の範囲にあります。年齢別にみると、罹患率は若い人に高く見られますが、致命率は65歳以上の年齢層(1.58%)が他の年齢層の4~6倍になっています。患者のほとんどが国境を接する県に集中しています。タイでは熱帯熱マラリアが40%弱、次いで三日熱マラリアが20%強、前二者の混合タイプが1%、四日熱マラリアは1%弱そして不明が40%弱となっています。卵形マラリアは検出されていません。 マラリアを媒介する蚊は夜間活動します。上記流行地域に出かける場合は、あらかじめ専門医にマラリアの予防内服の必要性について相談してから出かけるようにして下さい。 バンコクなどの都市部で感染する可能性はまずありません。
② 経口感染の病気
• 細菌性食中毒
食中毒はタイで最も多い病気の一つです。原因菌としてサルモネラ、腸ビブリオ、プレジオモナスなどがその代表です。その他の原因菌としては大腸菌、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌なども重要です。非常に稀なケースですが敗血症を起こしやすい細菌に経口感染し、発病後数日で亡くなった方が居ました。日常の注意点としては ①生もの(特に魚介類)は極力控える ②生ものは熱を通してから食べる ③調理した後は速やかに食べる ④調理場や食器類などは乾燥させておく ➄外食の場合には衛生的な飲食店を選ぶ 、と言った心構えが重要です。
• 赤痢、アメーバ赤痢
1996年から2005年の10年間の傾向を見ると感染者は段々と減少しています。罹患率では1998年の96.09を最高として2005年には40弱となっています。感染者は一年中見られますが、特に6月が最も多く12月が最も少なくなっています。全ての年齢層で発生していますが5歳以下の年齢層が最多で突出しています。県別ではミャンマー国境に接している所に多く発生しています。都市部での発生は少なく、ほとんどが郊外の住人の間で発生しています。感染者の多くが個々に発生しており、アウトブレークや大きな集団での発生は報告されていません。尚2006年の統計では致命率が0.01%となっています。赤痢は近年弱毒化の傾向にありタイでも比較的軽症例の割合が増えてきているようです。ただ感染力が強く、ほんのわずかの細菌でも発病します。